個人サイトを考える

所属している会社ではリフレッシュ休暇という制度があり、毎年1回、連続して5日間の休みを取ることができます。土日を繋げると9連休になる長期休暇。今までは旅行に行ったり、引っ越したり、親知らずを抜いたりと長期休暇じゃないとやる気が出ないことをしてました。

今年は担当しているプロジェクトの状況次第では休暇の取得日を変更しなきゃいけないかもということで、特に予定を立てていなかったんです。結局何事もなく休暇を取得出来たのは良かったけど、さぁ何しようと思ってたら5日が過ぎてました。

オリンピック見ながらぼーっとして、ネットサーフィンでもしようとブラウザ立ち上げて、無意識に開いていたのがこのブログ。そういえば今年の目標で「セルフブランディングやってみる」って書いたなーと思い出し、個人サイトのあり方を考えてみようと文章を書いているのが現在の状況です。

携帯サイトから始めた個人サイト

僕が初めて作った個人サイトは14年前の2004年。13歳の時にガラケーでポチポチとタグを打ち作った携帯サイトでした。当時は前略プロフィールの全盛期。前略プロフだと固定のデザインで調整出来ないのが嫌だなーとか思いながらサイトを作った記憶があります。ブログとか掲示板とかギャラリー的なコンテンツがある個人サイトでした。

2008年には初めてドメインを取り、携帯サイト用のテンプレートと携帯電話用の壁紙配布サイトを運営していました。その後、携帯サイトではなくPCサイトを作ってみたくなり、2010年に始めたサイトが今のLimelineです。当時はWebデザインやWordPressの情報を紹介するブログでした。それからは色々なサイトを立ち上げます。

個人とメディア

個人的な情報しか載っていない、いわゆる「自己満サイト」から始まり、個人の作品を配布する素材サイトと続き、転機となったのがブログのLimelineでした。これまで相互リンク経由でしかアクセスのなかったサイトに検索エンジンからアクセスが来るようになります。役立つ記事を書いたら色んな人に読んでもらえることが純粋に嬉しくモチベーションも維持できました。

とはいえ当時は役立つ記事だけではなく、旅行記や買った物など、プライベートな事も同じブログに書いていました。それを切り分けたくなり、2011年に立ち上げたのがnanomal。プロダクトやWebサービスの紹介、Webデザイン関係の記事を中心にしたブログです。色々書いた記事の中で、まとめ記事が少しずつバズるようになり、はてなブックマークで1000ブックマーク以上、Facebookで1000以上のいいねを貰える記事も。良い時は月間10万〜20万PVくらいのアクセス数がありました。

ブログだけで生計を立てている方々に比べると規模は小さかったですが、1人で小さなメディアを作れた経験が今の仕事にも多少活きているかなと。このブログをきっかけに就職も出来ました。しかし大学生とは違い社会人では中々記事を書く時間を取ることができず、2014年頃から更新頻度が下がっていきます。

メディアという視点ではキュレーションメディアやオウンドメディアなど、企業が本格的にデジタルメディア領域に力を入れはじめ、SNSを中心とするプラットフォームも更に力を持ったことで、個人が運営するメディアが対抗することはなかなか難しくなってきたのかなと思います。

ただ個人の力は弱くなったわけではなく、プラットフォームを上手に利用するインフルエンサーやライターによって、より強くなっているかと。サイト運営というスキルが必要なくなり、良いコンテンツが評価される時代になってきたのだと思っています。テキストコンテンツだと海外ではMedium、日本ではnoteが良い例ですよね。

ひたすらニッチな領域を個人で攻める

2014年、nanomalに使っていた時間を削ってデジタルマーケティングのキュレーションメディアであるChoicelyを始めます。当時の説明文は「刺激を受けることができる様々なものを集めているインスピレーションギャラリー」でした。社会人となり、作業時間が限られる中で、少しでも世の中に貢献できるメディアを個人で作ることは出来ないかと考えた結果、ギャラリー形式のキュレーションメディアにたどり着きました。

今はデザインの参考になるWebサイト、クオリティの高いWordPressテーマ、知っておきたいWebサービス、便利なツール、仕事を依頼できる企業、情報を発信しているメディア、勉強になる記事、プランニングに使いたい調査データをまとめています。

企業が収益に繋げることが難しいジャンルで差別化、「コーポレートサイトに強いWeb制作会社10選」のようなまとめ記事ではなく、「コーポレートサイトの実績があるWeb制作会社」のようなページをカテゴリ分けして作ることで記事を更新する負担を減らし、時間が経っても廃れることのないコンテンツを目指しています。また、利害関係が基本的にはない個人がデジタルマーケティング関連企業などをまとめることで、よりフラットに素敵な企業を紹介できると考えています。

また、僕がデジタルマーケティングに関わっていることもあり、自身のアウトプットの場所としても活用しています。nanomalの頃と比べるとアクセス数は半分以下となってしまいましたが、Choicelyをきっかけに大きい金額のリードが発生したり、自分宛に仕事の依頼が来たりと自身のビジネスにも繋がるようになってきました。

実名を公開すること

nanomal、Choicelyとメディアを立ち上げる一方でLimelineはポートフォリオサイトとして特に作品もないのに撮った写真や作ったサイトを紹介する場所として細々と放置してました。ちゃんと役割を決めようと2017年の春頃にプロフィールページとしてリニューアル。このブログを立ち上げたのもその頃です。今年に入って少しだけデザインを調整しました。

これまでインターネット上ではFacebookとLinkedIn、Wontedlyを除いて匿名で活動をしていました。特に理由はなく、漠然と、なんか怖かったんですよね。ただ北米では近い将来フリーランスが50%を超えると言われていたり、日本でもデザイナーやエンジニアなどクリエイターの方々は会社よりも個人の名前が注目されたり、マーケティング業界でも少しずつではありますが、個人の力が大きくなっているように感じます。

また、こうやって個人サイトを振り返ってみると個人の活動が人生にも大きな影響を与えていました。その時に匿名で活動しているのは勿体無い。であれば少なからずリスクはあっても実名は公開していくべきなのかなと。なので今年はソーシャルメディアのアカウント名も実名に変えてオープンに活動していくことにしました。会社に所属するしないの議論はまた別ですが、どちらにしてもビジネスもプライベートも知った上で、この人と一緒に働きたいと思っていただけるようなマーケターになれると嬉しいです。

これからの個人サイト

これまでもこれからもソーシャルメディアなど様々なプラットフォームも活用していくとは思いますが、僕は個人サイトも好きなので自分の活動を繋げるハブとして続けていきたいです。色々やってきた結果、このサイトは元の「自己満サイト」に戻ってしまいましたが、なんでも自分の好きなように出来る最高の遊び場だと思っています。