マーケターのキャリアとしてプロジェクト単位の働き方に挑戦してみた

副業やパラレルワークなど、働き方に関するニュースを目にすることが増えましたが、個人的に気になっていたのがプロジェクト単位という働き方。なんとなくマーケターと相性が良いのでは?と思いつつ、実際に取り組まれているマーケターの方はあまり見かけたことがなかったので、自分でチャレンジしてみることにしました。半年ほど取り組んでみたので、実際の働き方や気づいたことを振り返ってみました。

目次

1. 私について
2. プロジェクト単位の働き方とは?
3. 何故プロジェクト単位の働き方を始めたのか
4. プロジェクト単位の働き方のためにやったこと
5. 現在のプロジェクト状況
6. プロジェクトへの取り組み方
7. プロジェクトの選び方
8. 1日の働き方
9. プロジェクト単位の働き方をしてみて良かったこと
10. プロジェクト単位の働き方をしてみて悪かったこと
11. 最後に

1. 私について

私はデータドリブンマーケティングを得意としている28歳のマーケターです。新卒でデジタルエージェンシーのFICCに入社し、約6年間の在籍後、昨年12月にConnectantというコンサルティング会社を設立しました。現在はマーケティング戦略やデータ戦略の立案から各種施策実行まで幅広くお手伝いしています。

ナショナルクライアントやグローバルクライアントを中心に、消費財・飲料・食品・化粧品・家電・自動車・製薬・採用などの業界におけるBtoCマーケティング支援の経験があります。

2. プロジェクト単位の働き方とは?

そもそもプロジェクト単位の働き方って?という話なのですが、正確な定義はよくわかりません。2016年のHarvard Business Reviewの記事では下記のように書かれていました。

企業は、ステークホルダーへの透明性を高め、より柔軟になる。権限はより分散され、人的つながりはプロジェクトをベースとしたものが増える。人材は、経済的な理由だけなく共通の目的・意義の下に働く。伝統的な階層や契約に縛られない、ソーシャルネットワークによる外部との協働によって、リーダーシップはより水平的になり、共有化され、集合的になる。

上記はちょっと難しいですが、個人的には明確な目的が設定されたプロジェクト単位でチームが結成され、雇用形態は人それぞれ、プロジェクトが終了するとチームは解散し、それぞれ次のプロジェクトに参加するといったイメージです。

マーケティングプロジェクトの場合はインハウスで完結していることもありますが、事業会社を中心に、複数のマーケティング支援会社やフリーのメンバーでチームが構成されているケースが多いと思います。

3. 何故プロジェクト単位の働き方を始めたのか

これまでも私はエージェンシーに在籍していたので、社内で指名され、お客様の半年間のデジタルプロモーションや新規ブランドのマーケティング戦略立案などを担当する、基本的にはプロジェクト単位での働き方をしていました。

ある時、知人から個人でのお仕事を依頼いただくタイミングがあり、その後も個人宛にお仕事のご相談をいただくことが時々ありました。会社には副業に関する制度もあったのですが、会社での業務と類似するお仕事を個人で受けてしまうと切り分けが難しくなるのと、ミーティングなどは業務時間外で行う必要があり、スケジュール調整も難しいので、お断りをしていました。

上記のような経緯もあり、副業という選択肢は無かったのですが、今後のマーケターとしてのキャリアを考える中で、自分を指名していただける方に対してのお仕事やビジョンに共感するお仕事を受けてみたいという思いが強くなり、会社の枠を超えてプロジェクト単位の働き方をするため、独立という選択肢を取ることにしました。

4. プロジェクト単位の働き方のためにやったこと

4.1. 法人を設立した

前述のような経緯があったため、転職して副業や兼業するという選択肢はなく、独立を選びました。となると方法はフリーランスと法人設立の2択に。私は経営の勉強もしたかったこと、クライアントとの取引や税制面のメリットがあったことから法人設立を選択しました。(法人設立時にやったことはこちらでまとめています → スモールビジネスで起業した6ヶ月間でやった30のこと

4.2. 自分のマーケターとしてのポジションを明確にした

プロジェクト単位で働くということはプロジェクトが立ち上がった際、メンバーとして呼んでいただく必要があります。そのため、自分のマーケターとしてのスキルセットを整理し、ポジションを明確にすることにしました。

私は前職のエージェンシーで様々なプロジェクトを経験させていただいたので、マーケティングリサーチ、ブランド戦略・マーケティング戦略・データ戦略・コミュニケーション戦略といった戦略立案、プロモーション施策やブランディング施策の立案、施策に付随するメディアやWebサイトのプランニング、DMP/CDP構築支援などのデータマネジメントなどを担当することができます。また実務での経験はありませんが、趣味で10年ほどメディアを運営しているので、デザインとコーディングを含めた簡単なサイト制作もできます。

しかし上記のスキルセットは各分野で自分よりレベルの高い方がいらっしゃるので強みにはなりません。そこで私は器用貧乏なスキルセットを逆手に取り、デジタル化などの複雑化するマーケティングプロジェクトにおいて、状況を整理し、必要な専門家同士をお繋ぎしながらマネジメントを行い、プロジェクトを成功に導くマーケターというポジションを設定しました。(簡単にいうとチームに一人いると便利な何でも屋です!)

4.3. 自分のポジションに合わせたサービスを作った

先ほど明確にした自分のポジションに合わせて設立した会社では2つのサービスプランを用意しました。

A. プロジェクト参画型プラン

CMOやブランドマネージャーといったマーケティング責任者の右腕として月間30〜40時間プロジェクトに参画して支援させていただくプランです。プロジェクトマネジメントを中心に戦略立案から施策実行まで包括的にサポートします。ミーティング時のファシリテーターやパートナー会社へのブリーフィング、必要であれば資料作成やレポーティングなども行います。

B. ミーティング参加型プラン

週1回、1〜2時間のミーティングにのみ参加するプランで顧問契約に近いです。ただ私自身が前職から実務を回していくタイプだったので、知識の共有もしますが、ディスカッションのパートナーとして一緒に考えさせていただく、壁打ち相手のような役割を想定しています。

4.4. 宣伝した

正式に独立することが決まってからは上記のポジションとサービスについて、前職を通じてお世話になった方々にご挨拶とアピールをさせていただきました。また設立のタイミングでSNSでも告知をしています。

その結果、大変有り難いことに自分のキャパを上回るお仕事のご相談をいただくことができました。(リソースの都合上お断りさせていただいた皆様、申し訳ございません。)
また、何より嬉しかったのが退職した前職からもお声がけいただけたことです。現在は前職とも契約を結んでおり、一緒にプロジェクトを進めることもあります。

自身のマーケターとしてのポジションを明確にすることで、プロジェクトが立ち上がった際、お声掛けいただけたり、ご紹介いただけるようになりました。

5. 現在のプロジェクト状況

設立から半年が経った現在は7つのプロジェクトが進行しています。

お仕事(受注前も含む) : 4プロジェクト

・プロジェクト参画型(月30〜40時間コミット) : 2プロジェクト
・ミーティング参加型(週1回1〜2時間参加) : 2プロジェクト

お仕事として報酬をいただいているプロジェクトです。プロジェクト参画型では私がIMCなど、複雑なマーケティングのマネジメントを得意としているため、比較的予算規模の大きなプロジェクトをご依頼いただく場合が多いです。ミーティング参加型ではマーケティング起点のビジネスモデル構築やエージェンシーに対するマーケティング面のサポートといったお手伝いをしています。

サイドプロジェクト : 2プロジェクト

・マーケティング情報データベースの運営(Choicely
・新規事業開発

報酬をいただかない、個人で取り組んでいるマーケティング関連のプロジェクトです。5年ほど前から自身のアウトプットを兼ねてマーケティングの情報メディアを運営しているのと、マーケティングに関する新規事業開発をしています。

会社運営業務 : 1プロジェクト

・経営/総務/経理/マーケティング/営業など

法人を設立したので、会社を運営していくために必要な業務をまとめたプロジェクトです。従業員の雇用はしていないので、会社に関連する業務は全て1人で担当しています。

6. プロジェクトへの取り組み方

6.1. プロジェクト数の上限を設定する

お仕事としてお受けするプロジェクトはお客様に最高のパフォーマンスが発揮できるよう、上限を設定しています。現在の上限数はプロジェクト参画型が2件、ミーティング参加型が2件の計4プロジェクト。プロジェクトの進行に問題が発生した場合などに備え、少し時間に余裕を持たせた上限数にしています。

6.2. 常駐でのプロジェクトは受けない

お客様の現場に常駐して作業を行うプロジェクトはお断りするようにしています。一つのプロジェクトで常駐をお受けしてしまうと他のプロジェクトでのスケジュールが制限されてしまうことが理由です。ミーティングが頻繁に発生するプロジェクトが多いため、できる限り自由にスケジュール調整ができる状態が好ましいです。

6.3. 空いている時間を有効活用するためのサイドプロジェクトを用意

前述の通り、お仕事としては少し時間に余裕を持たせたプロジェクトの上限数を設定しているため、空いている時間に取り組めるサイドプロジェクトを用意しています。お仕事のプロジェクトが忙しい時のサイドプロジェクトは基本放置です。

6.4. ルーチンワークが多いプロジェクトは自動化して工数削減

会社運営業務のようなプロジェクトはツールなどを導入することで自動化し、極力時間を使わないようにしています。

6.5. 全てのプロジェクトを並列でタスク管理

タスク管理にはツールのOmniFocusを活用し、全てのプロジェクトを並列でタスク管理しています。プロジェクト状況では記載していませんでしたが、マーケティング以外のプライベートなプロジェクトも同時に管理するようにしています。

7. プロジェクトの選び方

上から目線の書き方で恐縮ですが、自分の中でプロジェクトを選ぶ際、下記のルールを定めて判断するようにしています。

7.1. プロジェクトのビジョンに共感できるか

プロジェクトリーダーの方がプロジェクトに対して描いているビジョンをお聞きして、自分が共感できるプロジェクトを選んでいます。

7.2. 自分の価値が発揮できるか

報酬をいただく際は報酬に見合った価値、それ以上の価値を自分が提供することができるプロジェクトを選んでいます。

7.3. プロジェクト達成の際に新しい学びを得ることができるか

プロジェクトを通じて、新しい知見や経験を得ることができるプロジェクトを選んでいます。また得た知見はフレームワークとして汎用化することで再現性を担保することを心掛けています。

7.4. プロジェクトチームと長くお付き合いさせていただくことができるか

私が得意としている領域のプロジェクトは基本的に短期で達成できるものが少なく、短くても3ヶ月、長いと数年単位でご契約させていただく場合もあります。そのため同じ目線で長くお付き合いさせていただくことが可能なプロジェクトを選んでいます。

8. 1日の働き方

基本的に平日は毎日ミーティングがあるので、ミーティング中心のスケジュールで動いており、ミーティング以外の時間は作業をしています。自宅で作業する場合と、複数の拠点を自由に使えるシェアオフィスを借りているので、ミーティングの前後にお客様の近くのシェアオフィスで作業する場合があります。

土日も1日フルで休むことはあまりなく、作業している場合が多いです。もともとワーカホリック気味だったのとワーク・ライフ・インテグレーションの考え方が好きなので、そこまで精神的に辛くはないです。逆に平日、時間に余裕が出来た時は午後休むこともあります。ただ体は弱いので、適度に休憩するようにしています。

9. プロジェクト単位の働き方をしてみて良かったこと

今のところプロジェクト単位の働き方は自分に合っていると思っています。自分の状況に合わせて、ある程度プロジェクト数をコントロールすることが可能ですし、プロジェクト毎に目的が明確になっているので、明確な意思をもって取り組むことができています。その結果、自分の中で納得のいく時間の使い方ができていると感じています。

また、プロジェクト毎にマーケティング領域の様々なプロフェッショナルな方々とご一緒させていただくことができるので、刺激が大きく、インプットできる情報量も増えたと感じています。独立はしましたが、どちらかというと複数の会社に転職したといったほうがイメージは近いかもしれません。

10. プロジェクト単位の働き方をしてみて悪かったこと

悪かったというより当たり前なのですが、正社員ではないため、ある程度のリスクはあります。現在は大変有り難いことに、自分が取り組みたいプロジェクトのお仕事をいただくことが出来ていますが、プロジェクト化するまでに時間がかかる場合も多々あるため、自分の理想とするプロジェクトと出会えるよう、ある程度収入がない状態でも生きていけるようにキャッシュを確保する必要はあると思います。

また、同時に複数のプロジェクトが進行しているため、マルチタスクがあまり得意ではない自分にとっては上手く対応していくことが課題です。

11. 最後に

マーケティング業界はプロジェクト単位で進行している場合が多く、マーケターとしてプロジェクト単位の働き方をすることは親和性があると感じました。

私はマーケターのキャリアとしての目標があるので、今後もずっとフリーのマーケターを続けるかどうかはまだわかりません。ただプロジェクト単位という考え方は変わらず、プロジェクト数が一つだけになったりする期間があるのかなと思っています。

ここまで長文となりましたが、お読みいただき、ありがとうございました!

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